床ずれ予防エアマットの選び方

床ずれ防止用エアマット

長時間ベッドで過ごす方にとって、「どんなマットで寝るか」は、快適さだけでなく床ずれ(褥瘡)予防に直結する大事なポイントです。筋力低下や麻痺などで自力で寝返りが難しい場合、同じ部位に圧力がかかり続けることで、皮膚やその下の組織の血流が悪くなり、床ずれができやすくなります。床ずれ予防マットは、この「圧力を分散させること」と「湿気・ムレを減らすこと」を助けてくれる道具です。


まず確認したい「その人の状態」

床ずれ予防マットを選ぶ前に、いちばん大事なのは「使う人の状態」を整理することです。

  • 体重・体格
    同じマットでも、体重によって沈み方が変わります。軽すぎると十分に沈まず、重すぎると沈み込みすぎて圧が集中することがあります。
  • 自力での寝返りや体位変換ができるか
    少しでも自分で寝返りができる方には、「動きやすさ」も重視します。まったく動けない方には、より積極的に体圧を変えてくれるタイプが必要になることがあります。
  • すでに床ずれがあるか・皮膚の状態
    予防目的なのか、すでに床ずれがあり悪化防止も目的なのかで、選ぶマットのレベルが変わります。
  • 介助体制・介護の頻度
    家族がこまめに体位変換できるのか、夜間は一人なのかによっても、必要な機能が変わります。

床ずれ予防マットの主なタイプ

大まかに分けると、床ずれ予防マットには「静止型」と「エアマット型」があります。

  • 静止型マット(ウレタンフォーム・ゲルなど)
    体を包み込むように支え、体圧を広い面で受け止めるタイプです。自力で多少寝返りができる方に向いていて、電源が不要、音が出ないというメリットがあります。
  • エアマット(交互圧切替タイプなど)
    複数の空気セルが交互に膨らんだりしぼんだりしながら、常に圧迫される場所を変えていくタイプです。自力での寝返りがほとんどできない方、中等度〜高度の床ずれリスクがある方に使われることが多いです。

選び方のポイント①:体圧分散と動きやすさのバランス

床ずれ予防マット選びで最初に押さえたいのが、「体圧分散」と「動きやすさ」のバランスです。

  • 柔らかすぎるマットの落とし穴
    体重が一部に集中しないように柔らかいマットを選びたくなりますが、沈み込みすぎると寝返りが打ちにくくなり、かえって床ずれリスクが上がることがあります。
  • 理想は「表面はやわらかく、土台はしっかり」
    マット表面で身体の凹凸にフィットしながら、下の層でしっかり支える構造だと、体圧分散と起き上がりやすさを両立しやすくなります。

選び方のポイント②:マットの素材と構造

素材と構造も、床ずれ予防と日々の使いやすさに大きく関わります。

  • ウレタンフォーム(多層構造・凹凸加工など)
    クッション性に優れており、凹凸構造にすることでボディラインになめらかにフィットし、圧を分散しやすくなります。厚さ10cm以上など、一定のボリュームがあると体圧分散効果が高まりやすいとされています。
  • エアセル構造
    エアマットでは、チューブ状やブロック状のセルが並んでいて、交互に空気圧を変える仕組みで圧を移動させます。ポンプ音や電源コードの取り回しなど、生活環境との相性も考えると安心です。

選び方のポイント③:通気性と湿気対策

床ずれは「圧」と同じくらい、「湿気・ムレ」も大きな要因になります。

  • 通気性のよい構造か
    凹凸構造や通気孔などにより、マットと身体の間に空気の通り道があると、汗や熱がこもりにくくなります。
  • 失禁への備え
    失禁や多汗がある場合、防水・撥水のカバーを使いつつ、内側は湿気を逃しやすい素材を選ぶことが大切です。防水性だけを優先するとムレやすくなるため、「防水」「透湿」の両方を意識して確認しましょう。

選び方のポイント④:カバーとお手入れのしやすさ

日常的に使うものだからこそ、「清潔を保ちやすいか」は重要です。

  • カバーは取り外して洗えるか
    ファスナー付きで簡単に着脱でき、洗濯できるカバーだと、汚れやにおいの対策がしやすくなります。
  • 消毒・拭き取りに対応しているか
    在宅でも、汚れた部分をさっと拭き取れる素材だと、お手入れの負担が軽くなります。アルコール等の使用可否が示されているか確認すると安心です。

選び方のポイント⑤:ベッドや介護環境との相性

マット単体ではなく、「家にあるベッドや介護環境」とセットで考えることが大切です。

  • 介護ベッドの機能と合っているか
    電動ベッドで背上げ・膝上げをする場合、マットが折れ曲がりやすい構造かどうか、ずれが起きにくいかがポイントになります。
  • 高さと安全性
    マットの厚みが増えるとベッドが高くなり、立ち上がりやすくなる場合もあれば、逆に転落リスクが高まることもあります。ベッド柵との高さ関係もチェックしておきたいところです。

ベッド用マットとクッションの併用

床ずれ予防はマットだけでなく、クッションや体位変換用具と組み合わせると、より効果的になります。

  • 部位ごとの負担軽減
    かかと、坐骨部、仙骨部など、特に圧がかかりやすい場所には、専用クッションを組み合わせることでピンポイントに負担を減らせます。
  • 横向き姿勢を支える用具
    側臥位をとるときに身体を安定させるクッションを使うと、ずれを減らしながら、同じ部位に圧が集中するのを防げます。

介護保険レンタルを上手に活用する

在宅介護の場合、床ずれ予防マットは介護保険でレンタルできることが多く、状態に応じて種類を変えられるのが大きなメリットです。

  • 主治医・ケアマネ・福祉用具専門相談員に相談
    褥瘡リスクやADL、家の環境も含めたうえで、その人に合ったマットを一緒に選んでもらうと安心です。
  • 実際に試して調整する
    カタログ上のスペックだけではわからない寝心地や動きやすさは、実際に使ってみて評価することが大切です。合わないと感じたら、遠慮せずに別のタイプを相談しましょう。

まとめ:その人に合った「ちょうどいい」を見つける

床ずれ予防マットは、値段の高いものが「正解」というわけではなく、「その人の体、動き、生活に合っているか」が一番のポイントです。体圧分散・動きやすさ・通気性・お手入れ・介護環境の5つの視点からチェックしながら、専門職とも相談して「ちょうどいい一枚」を見つけていきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました