階段昇降機は、階段にレールを取り付けて、いすに座ったまま上下階を移動できるようにする福祉・バリアフリー設備です。 足腰が弱くなった方や、バランスが不安定な方でも、転倒リスクを減らしながら自宅の階段を使い続けられるのが大きなメリットです。
同じ「階段昇降機」といっても、階段の形状(直線か曲がり階段か)、屋内か屋外か、利用者の体格・状態によって選ぶ機種が変わります。 導入前に条件を整理しておくことが、後悔しないためのポイントになります。
まずはここを整理しよう
導入検討のスタートは、「階段」と「使う人」と「設置場所」を具体的にすることです。
- 階段の形:一直線か、途中で曲がる折れ曲がり・らせん階段か
- 段数・傾斜・幅:レールをどこに付けられるか、通路幅が確保できるか
- 屋内か屋外か:玄関ポーチや外階段なら屋外用が必要
- 使う人の体格:体重(多くの家庭用は90〜92kg程度まで)や座位の安定性など
- 同居家族の動線:昇降機をたたんだ状態で、他の家族が通れるかどうか
このあたりを紙に書き出しておくと、業者との打ち合わせもスムーズになります。
直線型か曲線型かを決める
いす式階段昇降機は大きく「直線型」と「曲線型」に分かれます。
- 直線型
- 曲線型
同じ曲がり階段でも、レールを「内回り」にするか「外回り」にするかで傾斜や移動距離、家族の通りやすさが変わるため、実際の動線も含めて検討が必要です。
屋内用か屋外用かも大事なポイント
階段昇降機には、屋内専用、屋外専用、屋内外兼用のタイプがあります。
屋外の階段に屋内用を設置すると、防水・防錆の想定外となり、短期間で故障したり、メーカー保証の対象外になることがあります。 屋外用はいすの材質に防水性・耐候性の高いビニールレザーを使ったり、防雨カバーや誤作動防止機能を備えるなど、屋外特有のリスクに対応した設計になっています。
玄関前の段差解消や、外階段を使わないと出入りできない住宅では、屋外用昇降機の設置を前提に、雨風の当たり方やいたずら防止も含めて検討すると安心です。
安全機能と使いやすさのチェック
家庭用のいす式階段昇降機は、建築基準法や型式適合認定により安全に関する要件が定められ、各社とも必要な安全装置を搭載しています。 そのうえで、実際の機種選定では次のような機能を確認すると良いでしょう。
- いすの回転機能:上階でいすが手動または自動で回転し、段差ではなく廊下側に向いて乗り降りできるか
- 障害物検知:レール上の物にぶつかりそうなとき、自動停止するセンサーがあるか
- シートベルト・肘掛:座位が不安定な方でも身体が前にずれ落ちにくい形状か
- 誤作動防止:子どものいたずらなどを防ぐキー操作やロック機能があるか(特に屋外設置)
また、座面の高さ、いすの幅、乗り込みスペースの広さなど、「実際に座って乗り降りできるかどうか」を体験しておくと安心です。
価格と介護保険・補助制度
- いす式階段昇降機(固定式)は、介護保険の福祉用具レンタル・住宅改修のどちらの枠にも入っておらず、原則として介護保険の対象外とされています。
- 一方、階段に乗せて人を運ぶ「可搬型階段昇降機」は福祉用具貸与の対象で、要介護2以上なら介護保険レンタルが可能とされ、保険適用後の自己負担は月5千円前後からが目安とされています。
- 固定式いすタイプを導入する場合は、自己負担が基本ですが、市区町村によっては高齢者住宅改修やバリアフリー化に関する助成金・補助金の対象になることもあります。
設置を検討する際は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、自治体独自の制度の有無を確認しておくと費用面の見通しが立てやすくなります。
まとめ:専門家と一緒に「その家に合う一台」を
階段昇降機選びは、「階段の形(直線か曲線か)」「屋内・屋外」「使う人の体格と状態」「家族の動線」「費用と制度」の5つを押さえることが基本になります。 どれか一つでも合わないと、「乗り降りが怖い」「階段が通れない」「想定より高くついた」といったミスマッチにつながりやすくなります。



コメント