玄関の框や敷居、駐車場の段差など、ちょっとした段差が高齢者や車いす利用者にとって大きなバリアになります。 段差解消スロープは、その段差をなだらかな坂に変えることで、つまずき・転倒を防ぎ、安全な出入りや移動を助けてくれる道具です。
家庭用から車いす対応、屋外の車両用まで種類が多く、「高ささえ合えばいい」と思って選ぶと、滑りやすさや耐荷重の不足などで危険になることもあります。 ここでは、福祉用具や住宅改修の視点から、段差解消スロープの選び方を整理して紹介します。
まず確認したい「段差」と「使う人・使う物」
スロープ選びのスタートは、「どんな段差を、誰が、何で越えるか」を具体的にすることです。
- 段差の高さ・幅・設置スペース
段差の高さをメジャーで測り、前後にどのくらいの長さのスロープを置けるか(通路幅も含め)を確認します。 - 使う人・使う補助具
徒歩のみなのか、シルバーカー・歩行器・車いすを使うのかで、必要な長さや強度が変わります。 - 通る頻度と対象
毎日家族全員が車でまたぐ段差か、主に高齢者の歩行のみかでも、求められる耐久性が違います。
素材と設置場所の相性を考える
段差解消スロープは素材によって特徴が異なるため、「屋内か屋外か」「人か車か」で選び分けることが重要です。
- 屋内向け:ゴム・樹脂・木製など
室内では床を傷つけにくく、静かで滑りにくいゴムや樹脂、木製のスロープが使いやすいとされています。 敷居の数ミリ〜数センチ程度なら、オーダーで高さを合わせる木製プレートも有効です。 - 屋外・駐車場向け:ゴム・プラスチック・金属
駐車場など車両が通る場所では、耐荷重の大きいゴム製や金属製を選びます。 車両通行が多い場合は、耐久性を優先し、重量と設置のしやすさのバランスを見て決める必要があります。
高さと長さ:勾配の目安を押さえる
安全に使えるかどうかは、「段差の高さに対してスロープの長さが足りているか」が大きなポイントです。
- 目安となる勾配
車いすや介助を想定したスロープでは、段差の6〜12倍程度の長さが一つの目安とされています。 例えば、10cmの段差なら最低でも60cm、介助しやすい勾配なら120cm程度の長さが必要になります。 - 室内の小さな段差
数センチの敷居など、徒歩メインの段差解消プレートでは、そこまで長さを取れないことが多く、勾配はやや急になりがちです。 その場合でも、できるだけなだらかにしつつ、つまずきにくい形状・滑り止め処理の有無を確認すると安心です。
形状と機能:使う場所に合わせて選ぶ
段差解消スロープには、設置方法や形状の違いによるさまざまなタイプがあります。
- 置き型・プレート型
玄関や敷居などに「置くだけ」で使えるタイプで、設置が簡単なのが特徴です。 ゴムや樹脂製の段差プレートは、室内外を問わず手軽に導入できます。 - 折りたたみ・持ち運び型
介護現場や外出先で一時的に使う場合は、アルミ製の折りたたみスロープが便利です。 車いすや歩行器と一緒に車へ積み込みやすい軽量タイプもあります。 - 連結・高さ調整タイプ
パーツを組み合わせて高さや長さを調整できるタイプや、高さを無段階で変えられる製品もあります。 将来的に別の場所でも使う可能性がある場合、調整機能付きは汎用性が高い選択肢になります。
スロープと段差解消機の違いを整理
外構や玄関前で検討するときに迷いやすい「スロープ」と「段差解消機」の違いを簡単に整理します。
| 項目 | スロープ | 段差解消機(リフト) |
|---|---|---|
| 必要スペース | 段差10cmで約120cmなど、長いスペースが必要 | 昇降台と乗り降りのスペースのみで設置可能 |
| 費用 | 比較的安価で導入しやすい | 本体・工事費含め高額になりやすい |
| 主な用途 | 段差が低めで、ある程度スペースがある場所 | 段差が高い、スペースが確保しにくい場所 |
| 利用者 | 歩行器・車いす・徒歩など幅広い | 主に車いす利用者 |
十分なスペースがある場合は、シンプルで故障リスクの少ないスロープが選ばれることが多く、スペースが限られる場合や段差が大きい場合は段差解消機の検討も必要になります。
安全に使うためのチェックポイント
段差解消スロープは、設置して終わりではなく、「安全に使い続けられるか」を確認し続けることが大切です。
- 滑り止めと雨対策
雨や雪がかかる場所では、表面の滑り止め加工や水はけの良さを必ず確認します。 - ガタつき・ズレの有無
設置面が傾いているとスロープがガタついたり、ズレたりして危険です。必要に応じて固定用のビスや滑り止めシートを併用します。 - 通路幅の確保
スロープを置いたことで廊下や玄関が狭くなり、歩行器や車いす、シルバーカーが通れなくなっていないか確認します。
介護保険と専門職への相談
介護用途の後付けスロープは、条件を満たせば介護保険でレンタルや住宅改修の対象になる場合があります。 ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、住宅改修事業者に相談すると、段差の実測や勾配計算も含めて一緒に検討してもらえます。
段差解消スロープは、「段差をなくす」だけでなく、「その人が安心して出入りできるか」を支える重要な道具です。段差の高さ・スペース・素材・勾配を一つずつ確認しながら、そのご家庭に合った安全な一枚を選んでいきましょう。



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